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東京地方裁判所 昭和55年(ワ)13638号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

本件における「専属委任の特約」とは、原告の主張によれば「被告はこの契約の存続期間中は原告の仲介によらない方法で第三者と売買契約を締結してはならず、第三者に売却する場合は必ず原告を仲介者として経由せしめる。」というものである。

【判旨】

二原告主張の第二の仲介委託契約に基づく請求について

請求原因1及び同3のうち、原告と被告との間で、昭和五五年九月二四日、伊勢原の物件(但し、別紙物件目録記載五の土地の地積を除く)について売却の仲介委託契約が締結されたことは当事者間に争いがなく、<証拠>によると、右仲介委託契約においては、売却予定金額は二二五〇万円、委託期間は右契約成立の日から同年一一月末日までとし、右期間中他から売買の引合いがある場合は必ず原告を仲介者として経由せしめること、売却手数料は建設大臣の定めた額、但し、売却代金の三パーセントに六万円を付加した金額のほか宣伝広告費を含め一〇〇万円までとすること等の合意がなされたこと、売却物件のうち、別紙物件目録記載五の土地の登記簿上の地積は一八六平方メートルであるが被告が売却を依頼したのは右土地の四分の一の持分であつたこと及び原告は前記一でみたとおり二宮の物件が二宮土地建物の仲介により他に売却されるという事態が生じたことから、被告に対し本件伊勢原の物件の売却については間違いなく原告に仲介させるよう確認を求めるとともに、業者に散広告をする等して売却を図つていたところ、被告は右委託期間内である昭和五五年一〇月一三日、原告の仲介によることなく、宅地建物取引業者である横山不動産こと横山謹祥の仲介により、原告に指示した売却予定金額を下廻る金一九〇〇万円で右物件を訴外菊川方成、同菊川順治、同菊川マサ子に売却したことを認めることができ、証人田中長三郎の証言中右認定に反する部分は措信し難く、他には右認定を左右するに足りる証拠はない(但し、被告が右日時に右物件を訴外菊川方成他二名に売却したことは、当事者間に争いがない)。

ところで、原告は右仲介委託契約には請求原因3の(五)の特約のある専属委任契約であり、これに違反したときは手数料相当損害金の請求ができると主張するところ、右認定事実によると、本件仲介委託契約には、委託期間中は、第三者に売却する場合は必ず原告を仲介者として経由せしめる旨の合意(以下、便宜上本件特約という)がなされていたことが認められ、しかも、右合意の趣旨につき、証人田中長三郎の証言、原告代表者及び被告双方本人尋問の結果によると、原・被告双方は、右合意は被告が原告に委託した期間中は、他の不動産業者の仲介により売買が成立した場合でも、被告は原告に対し、仲介手数料相当額を支払わねばならないものであることを相互に了承していたものと認めることができる。<中略>

そこで、被告の主張3(公序良俗違反の主張)について判断する。

本件特約の存する仲介委託契約は、被告主張のように被告に不利益な面の存することは否定し得ないとしても、他方、依頼を受けた業者は、他の業者から取引を横取りされるおそれがなくなり、費用も無駄にならないことから、物件情報を共同情報機構に登録するなど取引の相手方を見つけるため積極的に努力するようになり、これにより依頼者にとつても契約成立までの期間が短縮されるという利益が生ずるものと予想されるから、被告主張のように一方的に被告に不利な契約であり、公序良俗に反するものとは言い難い。(因に、昭和五五年法五六号「宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律」により一部改正された宅地建物取引業法三四条の二は、依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買等の媒介又は代理を依頼することを禁ずる媒介契約(専任媒介契約)を媒介契約の一類型として認めており、また、成立に争いのない乙第一二号証によると右法改正にあたつては、一般媒介契約(他の宅地建物取引業者に媒介等の依頼を許すもの)よりも専任媒介契約の方が好ましい契約類型であると考えられていたことがみとめられる。)。

(宗宮英俊)

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